エネルギー問題と企業の性
10月31日~11月12日に英スコットランド・グラスゴーにて、COP26が開催されています。この会議は、1995年から毎年開催され、今年が26回目です。
現在グローバル共通の目標として、地球の平均気温を産業革命前から1.5度に抑えることをめざしています。そのためには、2030年までに温室効果ガスの排出量を45%削減、そして2050年までに正味ゼロにする必要がある、とのこと。
岸田首相は演説において、水素やアンモニアを利用した火力発電のゼロ・エミッション化を前提に、石炭をはじめとした火力発電の維持を表明しました。
で、その演説を受け、温暖化対策に消極的な国に与える不名誉な“化石賞”を2回連続受賞とすることとなりました。
日本としては、CO2を減らせるならとにかくなんでもやろう!ということで、地中に埋めるという研究も進められています。
これ、宗一郎としては、そもそも地中に埋められるCO2の量は限られており、いつかは限界がくるため、単なる未来の世代への問題の先送りでは?とも感じます。
コスト的にも1トン削減するには約7,300円かかり(苫小牧での実証実験)、自治体や企業はまだまだ手がでないでしょう。
ちなみに、日本の間接排出量(実際に電力を資料したところ)の割合はこのようになっています。(2019年度)
産業(工場) 34.7%
運輸(飛行機・自動車・電車) 18.6%
業務その他(商業・サービス・事業所) 17.4%
家庭 14.4%
エネルギー転換(発電所) 7.8%
工業プロセス(石灰石消費) 4.1%
廃棄物(廃プラスチック・廃油の償却) 2.8%
その他 0.3%
これをみると、工場や運輸の一部(飛行機や電車)、業務その他など、少なくとも7割以上は企業活動での排出となっています。
まず、手を付けるべきは、ここ(企業)なわけです。CO2削減にむけて、どうすれば企業が本気で動いてくれるのか。
宗一郎は、企業も人間も、所詮本能で動くものだと考えています。
目の前にお金が得られるチャンスがあれば、環境を守るのが大事と頭ではわかっていても、前者を優先してしまうので人間です。人間が営んでいる企業も同じである、ということです。
グレタさんがどれだけ一生懸命危機感を煽っても、やっぱりそれだけで動くとは思えないのです。
投資家による環境重視の投資(ESG投資)が“始まっている”と言われますが、それが実質的な環境改善効果を得られるまで、果たしてどれだけ待てばいいのか(それを待っていたら、到底間に合わない)とも思うのです。
環境問題だって、資本主義(利益)と結びつけて、人間の欲望を利用するのが最も手っ取り早いのでは?と考えます。(=CO2排出量に応じた企業への金銭的なアメとムチの導入)
カーボンネガティブな企業(CO2の排出量よりも吸収量が多い)には、法人税減税を強化する。
一方、排出量の多い企業には、炭素税を課税する。炭素税導入については、むしろ時間の問題では?とさえ思います。
こんなことを考えるとき、ことごとく“国のリーダーシップってマジで大事”だと感じます。
また、家庭の排出割合は15%ほどですが、企業活動の最終判断者は家庭(消費者)であり、ボトムアップによって企業にプレッシャーをかける意味でも、個々人の取り組みや意識醸成は重要です。
そうはいっても、小泉環境大臣の退任時に、“レジ袋無料化の復活を”という意見が多くあることや、トヨタ社長が雇用を守るために、電気自動車偏重に懸念を示すニュースなどをみていると、日本人の意識醸成のために、やるべきことはまだまだありそうです。
(ちなみに、2050年に世の中全部を電気自動車にするには、2035年にはガソリン車の販売を止める必要がある!)
ちなみに、日本の直接排出量の割合(2019年度)は下記の通りです。
直接排出量の割合
エネルギー転換(発電所) 39.1%
産業(工場) 25.2%
運輸(自動車) 17.9%
業務その他(商業・サービス・事業所) 5.8%
家庭 4.8%
工業プロセス(石灰石消費) 4.1%
廃棄物(廃プラスチック・廃油の償却) 2.8%
その他 0.3%
二酸化炭素のつくり方である直接排出量においては、エネルギー転換(発電所)が約4割を占めており、エネルギーミックスのあり方が最重要となります。
この点については、また今度考えてみたいと思います。
めざす目標である2050年まで残り約30年もあるので、国ごとのエゴだとか、国家間の軋轢とかで、このまますんなりいくとは思えない。
けれど、日本がゆでガエルになって若い世代が犠牲になることだけは避けないといけないですね。